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蚊取り線香は複雑系の香り。「複雑系」とは何か正直で美徳である。
美徳なのだが、正直にもほどほどのレベルがあるようだ。
「あなたはマヌケだ」とか「あなたは社長の器ではない」とか「あなたが結婚できないのは顔と性格のせいだ」とか「この本はつまらない」とか言うと、いかにそれが正直な描写であろうとも物議を醸す。
私は稀に見る美男子だが、正直な人に「あなたは美男子ですね」と言われると迷惑だ。
周囲の人が気を悪くするのだ。
正直もほどほどにしてほしいと思う。
「あなたは禿げたオランウータンが二日酔いになったみたいな複雑な顔をしていますね」と言われると、その人の気遣いの奥深さに感服してしまう。
最近は、このように気遣いのできる人たちが周囲に増えてきたように思う。
「とても規則性を見出せそうもない複雑な対象を分析して、その規則性を探り出す」という学問がある。
この学問の呼び名がふるっている。
名づけて「複雑系」。
「複雑なものは複雑だ!」と、あくまでも正直なのである。
「複雑系」は実は新しい学問ではない。
30年ほど前の1970年代前半に「複雑系」の考え方は世に広く紹介されていたのである。
蚊取り線香の煙がポワーンと漂っている光景を想像してほしい。
煙は最初はツツーと床面に垂直に一本線となって上昇していく。
煙を眺めている人の鼻息にでも影響されたのであろうか、突如として、ポワッとその線がくずれ、右へ行ったり左へ行ったり、ちょっと上がったり、はたまた急降下したりする。
この動きは一言で言うと「複雑」である。
二言で言うと「すごく複雑」になる。
渋谷の女子高生だと「チョー複雑ゥ!」だし、関西人だと「ごっつう複雑やんけ」である。
世の中には真面目な人がいるもので、複雑な煙の動きをただボンヤリ眺めているのではなく、規則性を解明し、動きを予想してやろうだとか、パターン化してやろうだとかという学問が芽生えたのだ。
蚊取り線香の煙はどこを切っても同じ形蚊取り線香の煙の動きを見ていただきたい。
Gという複雑系学者は点線で囲まれた部分に注目したのである。
Gはスウェーデン人であるが話の都合上スウェーデンにも蚊取り線香があったことにする。
細分化しても結局、同じパターンが現れる複雑な動きをパターン化する道が開けそうだ!!これを自己相似と呼ぶことにしよう」。
この曲線はその後、G曲線と呼ばれ、その特徴はどの区間をとらえようとも、それを拡大すればもとの曲線と同じパターンが現れるということにある。
フラクタルとは何かマンデルブロという学者も同じ発想で研究に打ち込んだ。
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